〜遠征報告〜
                                                                                                komatsu@bassinheaven.com

アングラー 東京/山岡洋様 御一行
フィールド メキシコ・レイクピカチョス
期間 2015年3月
レイク・ピカチョス遠征

 釣りをされる皆さんのまわりにも必ずいると思います、こんな人。一緒に釣りをしていて釣れない状況に陥ると、「昔の○○湖はこんなんじゃなかったんだけどな〜、ホント釣れたんだから、100本くらい平気で釣れたんだから!!」と昔の大漁話を豪語し始める人。きっと一人や二人いらっしゃることでしょう。私のまわりにも何人かいらっしゃいますが、そんな話を湖上で聞くたびに、「昔じゃなくて、今日ここでどうやったら一匹釣れるかが問題なんですよ」とよく心の中では思っているのは内緒です…。

 ある日のこと、「最近できたメキシコの湖で一日に100匹〜200匹釣れるレイクがある。」と、どこからともなく噂を聞きはじめた。はじめはお客さんからの情報だっただろうか。或いはバカラックのロッジでアメリカンから聞いた話だっただろうか。
 バスの生息数が安定もしくは減少した現状の日本のレイクにおいて、1日で3ケタもバスが釣れる事ってのはまずあり得ない。それを5日間やったらそれだけで年間目標の1000匹キャッチを達成できてしまうではないか!しっかりフィッシングロッジがある上に、毎日出船したみんなが三ケタ釣れる湖なんて…




 人並みにバスフィッシングの酸いも甘いも経験してきているので、そんなうまい話があるかい!と、はじめは話半分に思っていた。しかし何件か同じような情報を聞くようになり、その度に、…ひょっとすると噂は本当かもしれない。だとしたら、その手のレイクは我先に行ったもん勝ちだというのも直観的に感じていた。あいかわらず私は釣り意地の汚い浅ましい人間だと思う。でもそれが釣り人の本性であるから仕方がない。昔のめちゃくちゃ釣れる琵琶湖や、池原、亀山…を経験した事がなく自慢話しか聞かされたことのない私にとっては、そんなパラダイスレイクを体験できるチャンスは最初で最後かもしれない。何年か経ってからではすでに湖が潰れているかもしれない。これはダメ元で計画してみるか…とそのレイクを調べ始めた。



 レイクペカチョ?! 間の抜けた名前の湖だなぁ、「バカラック」や「エルサルト」みたいな名前から伝わる力強さのようなものがないから、いまいち提案してもウケなそうだなぁ、、などと思いながらも調べをすすめてみると…、どうやらここレイク・ピカチョスは、5年前にマサトランの郊外に完成した湖で、1年ほど前からフィッシングロッジも完成して、現在ロッジは3件ありあるようだということがわかってきた。そこまでわかれば、あとは現地と連絡を取るのみだ。最近はドル円のレートも一時期よりちょっと高くなってしまってメキシコフィッシングも料金の相場も上がって困っていたので今回は値段重視、少しでも安くなるようなプランを作成してみることにした。まずベースとなる宿泊先とフィッシングガイドを決めてゆく。コンタクトを取った結果、今回はピカチョスバスロッジという施設でお世話になることにした。

 ここは他のレイクでも多く見受けられるアメリカ資本のバスフィッシングロッジと少し違って、ダム建設時に沈んだ村の住人が主体となって運営している施設(組織)だという。バスフィッシングでこの村に来てくれたゲストから、村人に直接お金が落ちるような仕組みを作るのに現在試行錯誤中だということで、最近やっと型になってきたところだったという。宿泊は村の空き屋をゲスト用に使っており、食事のときは共同レストランへ、何か小物が欲しい時は村の商店へ行き、釣りの時はボートキャンプに連れて行ってもらう。

 歩いて周れるくらいの小さいな村ではあるが、各施設は車で1〜3分ほどかかるので、移動が他のフィッシングロッジを知っている人からすると煩わしさも感じるのは確かだが、滞在中、まるでメキシコの片田舎の村の住人になったかのような感覚、村人と密にコミニケーションとれる環境というは、今までのメキシコバスフィッシングにはないとても新鮮なものだった。そしてここの施設は、ピカチョスの他の米国資本のロッジよりは旅行代が安く済むのも魅力のひとつだ。



 航空便も今回は安く済むよう、韓国経由でアメリカ、一泊してメキシコへ向かうルートを使ってみた。が、これはちょっと関東出発の方には正直しんどい。大人しく日本−アメリカ間は直行便があるならば直行便をおすすめしたい。逆に地方出発で、どのみち成田か羽田を経由しないといけない方には、韓国経由は良い手段だと感じる。乗り換え時のインチョン空港での入国手続きが想像以上にとても簡単でスムーズにいく。さらに驚くことに乗り換えの人用に、簡単なソウル無料観光ツアーも用意されていた。空き時間にあわせて数種類のコースがあったので、是非今度乗り換え時間があった時には利用してみたい。

 往路でアメリカに一泊となる場合、レンタカーさえ運転できればここでバスプロショップに行けて釣りの準備を事前にすることができる。メキシコ遠征に必ず必要となる6インチ以上のワームや、フルサイズのルアーは最近だと、日本では通販を駆使しないとなかなか揃わないのでこの時間があるのは非常に有り難い。ただし、はじめてのメキシコ釣行の場合は、先にバスプロショップに行ってしまってもまだ実釣をしていないので、どうしても必要なもの欲しいものがピンときていないので、できれば帰りにアメリカ一泊にして釣具屋に寄りたいところ。レンタカーの運転が無理ならば、送迎サービスやタクシーをつかうこともできるし、釣りに関してならばピカチョス&エルサルトのフィッシングコンボなんてプランも作る事が可能だ。このあたりのスケジュールは、航空便の時間の兼ね合いもあるので、プランを立てる際は私に一度問い合わせてほしい。



 今回はロサンゼルスが経由地となったが、毎回ここが旅の最大の難関だ。ロサンゼルス空港はとてつもなく広く、ターミナル間の移動があり、慣れない言語とジェスチャーでフィッシングロッドを預け直したりと、ロッドの超過料金がかかったりと、入国の際も出国の際も何かとをするにもいちいち時間がかかるので何度きても好きにはなれない空港だ。この鬼門のロサンゼルスさえクリアすることができれば、あとはマサトラン行きの便に乗ってしまうだけ。到着後、空港ロビーには係員がちゃんと迎えに来てくれるので安心、これでもうピカチョスには着いたも同然だ。乾いた埃と排気ガスのちょっと混じったマサトランの町中をぬけて山にはいりだすと、空港からたったの45分ほどでピカチョスのあるサンマルコス村へ着く。参考までに、バカラックに行く際には空港から少なくとも2時間半、エルサルトで2時間弱のドライブがある。

 ロッジにつくと、遠路はるばる日本から釣りをしにきた私たちを手厚く歓迎してくれた。ピカチョス周辺の自治体としても初の日本人グループを呼べた快挙だったらしく、マサトランの市議会議員さんだったり、地元テレビが取材にもきてきた。取材も受けてこの時ばかりは日本からの先駆者…的なちょっとばかり誇らしい気分になることができた。



 1日目は到着後、挨拶と宿泊の説明もそこそこに、夕方からおかっぺりにも連れてってくれた。ここで翌日からはじまるボートフィッシングの前に1時間でも2時間でも湖のいまの様子を見れるというのは大きなアドバンテージとなるので非常に有り難い。バンクフィッシングなのでロッドは1セット限定、シンカーとワームを少々持って、さあ開始。それにしても、初めてきたレイクでの第一投目というのはなんとも格別なもので、いくつになっても気持ちが高揚するものだ。日暮れ前のメキシコの初レイクで、私もしばし幸福を噛み締めることができた。ただしその気持ちは、10分後にはすぐになくなってしまう。はやくこのレイクのファーストヒットが欲しいと気が逸るのだ。

 湖が見渡せる高台に登ると、噂通りの景色が広がる、これでもか!と言うくらいのティンバー群が見えてくる。ボートドッグ付近から歩ける近くのワンドにまずは陣取り、さっそく竿を振ってはみたものの、しばらく何もない時間が続く。どうやら決して、どこでも、なんにでも釣れる訳ではないようだ。手を変え品を変え、場所を小刻みに変えていく…すると、岬の付け根、かつ立ち木のからんだところに投げこんでいくと、条件が重なったところで小気味の良いアタリがではじめた。コツが掴めてきたゲストさん達もひとつのスポットから何匹も釣ってくる。型は三十五センチ前後だが、連投連続ヒット。こっちのバスは俊敏でサイズが一緒ならば日本の同サイズの倍は暴れる。もうパターンが掴めたのか?!これは噂どおり凄いレイクかも?!さっそく初日のおかっぱり釣りにして、パラダイスの一端を体感して初日を終了することができた。



 メキシコのフィッシングロッジではどこでもだいたい似たようなシステムをとっている。基本的な流れはメキシコバスフィッシング共通なので一度行けばどこもわかりやすい。

 朝はお越しにきてくれて、食事を取ったら午前の釣り、ランチの時に一度レストランに戻り、食後の休憩シエスタをとって午後からまた釣りに出る。メキシコは(特に)5〜9月頃は日中1〜3時頃の時間帯は40℃前後まで気温が上がり、とてもじゃないが外で釣りをする気候ではなくなるので、このシエスタというのがとても重要なのだ。おかげで午前も午後も非常に集中して釣りをやりきることができる。そして夕方は日暮れまでやらせてくれる。メキシコでの日が沈む前の一瞬の夕日は本当に美しい。



 今回、我々が行った時期はちょうど季節の変わり目だったようで、普段のメキシコではあまり経験することのないスコールを味わった。ここ8年ほどで13回メキシコに行っているが、雨が降るメキシコは実は初めての経験だった。日本で雨振りというと魚も活性が上がり、浮ついてくる良い印象を持っているアングラーも多いとは思うが、所変われば、、でここのバスたちにはどうやら逆効果のようだった。ガイドに聞いても活性が下がりディープに落ちる、と言うではないか。確かにその日はスコール以降、バイトが遠かった。急な天候の変化で口をあまり使ってくれなくなってしまったらしい。逆にしばらく晴れが続くとバスも俄然やる気が出てくるようで、やはり太陽の国のブラックバスは、姿は一緒なれど気質が違ってくるものなのかもしれない。

 天候が回復すると川の流れ込みエリアなどでは、アタリが本当に止まらない、止まらない。あれよあれよというまに3ケタフィッシングを達成してしまったではないか。こう言ってしまうと元も子もないがエリアが合ってさえいれば、ヒットするルアーはレンジを外さなければ(今回は全体的に若干当たりレンジが深かった)大概のものは食ってきてくれる。おかげで日本ではイマイチ使いきれていなかった苦手なルアーたちの克服の場にもなった。ルアーのテストをするにもとてもいいフィールドだと感じる。良いルアーは良い、駄目なものは駄目というのをはっきりと認識することもできた。小手先のテクより天候。メキシコのバス達はやはり日差しが大好きなのだろう。乱立する立ち木群をカバークランキング、ジグ&テキサス、アタリが遠のいたらスピナーベイトのフラッシングで更に追加。夕方にはトップウォーター連発と、プライムタイムも味わうことができた。



 ただし、ビッグワンはそうは簡単にいかない。今回は正直グランデ狙いは苦戦した。ダムができあがった時にはじめに放流した三百匹のバスが子を生み、その子孫たちを保護することで今のピカチョスを形成しているとガイドが説明してくれたが、憧れのテンポンドオーバー(約四千五百グラム)の巨バスを獲るのはなかなか難しいかもしれない。今回、最大魚は四日間かけて、ガイドがなんとかビッグフィッシュばかりが溜まっているワンエリアを見つけ出してくれて、そこで五十五センチアップをゲストさんが獲ることができた。・・・もう一日あれば、パターンが掴めて煮詰まってきてはいたので、更にビッグワンを狙えた気もするが、まあ毎回そんなものだ。無情にも今回のフィッシングは終了、後ろ髪をひかれる思いでの帰国となる。


今回のBiggest fish

 ただ、このフィールドでは確実にバスが保護されているので、おそらく今釣れている世代の魚たちがあと何年かするとそのうちの何割かがテンポンドオーバーへと育ち、かのバカラック伝説のような巨大バスばかりのミラクルレイクに変わってゆくのではないだろうかと思うと期待せずにはいられない。今のピカチョスはちょうどバスの個体数が上昇中の時期のようで、このまま無事に成長していってくれることを願ってやまない。日本からのゲストがくることで村にお金がまわり、それがバスの保護にダイレクトに繋がっている面もあるので、是非ともレイクピカチョスを今のうちに体感して欲しい。


文/スタッフ小松


遠征報告トップへ戻る



ホーム | スタッフ釣行 | お客様からの遠征報告 |お問い合わせフォーム | メール
〜バッシンヘブン〜  Tel: 03-3545-5264 Fax:03-3544-5532